屋根修理の見積もりを見ると「足場費用」という項目が記載されています。10万~20万円する足場費用を見て「これってもっと安くならないの?」という方もいるかもしれません。
今回は足場費用の相場や安くなる方法について解説。屋根工事をもっとお得にしたい方は必見です。
屋根修理にかかる足場の費用を解説

足場というのは家の屋根や外壁など高い場所を修理する際に、職人が安全かつ迅速に作業するための設備。一般的には建物の外壁に沿ってぐるりと4面に設置されます。「仮設足場」などといい、足場のかけ方によって3つの種類に分けられます。
ここでは足場の種類ごとの単価や屋根面積から求める足場面積の求め方について見ていきましょう。
足場の種類別・費用の単価
足場には設置方法により、クサビ足場・パイプ足場・単管ブラケット足場の3種類に分けられます。それぞれの特徴と使用する部材の詳細はこちらです。
足場の種類 | 詳細 |
クサビ足場 | 「ビケ足場」とも呼ばれ、足を乗せる板が広いのが特徴。 組み立てや解体にハンマーを使用するため音が響くことがある。 |
パイプ足場 | 別名は「単管足場」、二本渡したパイプに足を乗せるため危険なことも。 クサビ足場を組めない狭いスペースで使われることがある。 |
単管ブラケット足場 | パイプ足場にブラケットという金物を使用して板を設置。 ボルトを締めて組み立てるためバランスがとりやすい。 |
3階建て以上の建物には「枠組み足場」が使われますが、一般住宅には上記の3種類が主に設置されます。足場を組むには「足場の組立て等作業責任者」という資格が必要で、足場を組む作業員すべてが特別講習を受講しなければならないという決まりがあります。
足場は誰でも組めるという訳ではなく、地域によってある程度相場の金額が決まっていることがほとんどです。こちらは種類ごとの費用相場と組立てにかかる日数です。
足場種類 | 費用相場 | 組立日数 |
クサビ足場 | 1,000円~1,200円/㎡ | 半日~1日 |
パイプ足場 | 600円~800円/㎡ | 半日~1日 |
単管ブラケット足場 | 800円~1,000円/㎡ | 1日~2日 |
現在はクサビ足場が主流となっており、クサビ足場を30坪の住宅に施工する場合は175,000円~228,000円、40坪の住宅では205,000円~264,000円ほどが相場です。
足場の他に粉じんや塗料の飛散を防ぐ飛散防止ネットを設置する場合は、1㎡当たりプラス200円ほどかかります。
足場をかける面積の求め方
足場をかける面積は、建物の外周から次の計算式で求められます。
(建物外周+8m)×家の高さ(m)=足場架面積
家の高さが分からない場合は、こちらを参考値として当てはめてください。
- 一階建ての高さ・・・4m
- 二階建ての高さ・・・6m
- 三階建ての高さ・・・9m
足場架面積が求められたら、足場費用の概算が下の計算式で分かります。
足場架面積×足場㎡単価=足場費用
例えば外周25mの二階建てに㎡単価1,100円でクサビ足場を組む場合は、
(25m+8m)×6m=198㎡
198㎡×1,100円=217,800円
217,800円が足場にかかる費用になります。つまり一般的な二階建て住宅では15万円~22万円ほどの足場費用がかかることになります。
屋根面積で足場面積が分かる
屋根の角度が急な場合、作業の安全性を確保するため屋根の上にも足場を設置することがあります。こちらは屋根面積から足場面積を求めた一覧です。
建坪数(㎡数) | 屋根面積(㎡) | 足場面積(㎡) |
20坪(66.1) | 100~110 | 145~160 |
25坪(82.6) | 110~120 | 160~175 |
30坪(99.1) | 120~130 | 175~190 |
35坪(115.7) | 130~140 | 190~205 |
40坪(132.2) | 140~150 | 205~220 |
45坪(148.8) | 150~165 | 220~235 |
50坪(165.3) | 165~180 | 235~250 |
屋根に足場を組むかどうかは業者の判断次第です。見積もり時に確認すると良いでしょう。
屋根修理の足場費用を抑えるためのポイント

平均でも15万円以上かかる足場工事をなるべく安くするにはいくつかのポイントがあります。これらのポイントを踏まえて業者に依頼すると足場費用が抑えられます。
外壁工事などと一緒に行う
屋根修理で足場を設置する場合、外壁工事と一緒にすると二回分必要な足場が一回分の費用で済むことがあります。近い将来屋根修理が必要になるなら、このような工事とまとめてすると良いでしょう。
- 外壁塗装
- 外壁張り替え工事
- 雨どい交換
- トップライト交換
- 棟板金などの部材交換
- 増築
- 太陽光パネル設置工事
- その他清掃や補修工事など
よく同じタイミングで修理するのは、屋根塗装と外壁塗装です。住宅を新築で建ててから20年ほどすると、屋根と外壁の塗料に色褪せやチョーキングといった劣化症状が現れ始めます。たとえどちらか片方にしか症状が出ていない場合も、同じように劣化していると考えて同じタイミングで修理するようにしましょう。
相見積もりを取って相場を知る
「相見積もり」というのは、複数の業者から見積もりを取ること。相見積もりにより自宅を修理する場合の相場や工事内容を確認できます。
というのも住宅によって立地条件や建物の高さ、足場をかける面積が異なるので、実際に現場を見てもらって見積もりを出すことが重要になります。相見積もりを取る場合は、必ず2~4社の業者に依頼しましょう。
1社だけではその地域の適正相場を知ることができません。もしかしたら悪徳業者で高額な見積になっている可能性もあります。逆に5社以上になると業者に連絡をして現場を見てもらうという一連の流れが煩雑になってしまいます。
多くても4社程度から見積もりを取れば相場が分かりますので、見積もりの詳細さや担当者の応対を見ながら、最も信頼できる業者を決めるようにしましょう。
自社で足場工事をする業者に依頼
足場費用を抑えるには、自社で足場工事をしている業者に頼むのが一番。自社で足場工事をしているかどうかは、足場を保管している倉庫があるか、足場単価を詳細に公開しているかがチェックポイントになります。
大手リフォーム会社では足場は足場業者、塗装は塗装店と下請けに作業を依頼していることがほとんどです。そうなると下請けに工事を出す余計なマージンが発生するため費用が割高になります。
もし屋根修理を依頼する業者が自社で足場を設置できない場合、足場業者に別で依頼するようになりますが、屋根修理業者の中には自社で足場を組めることもあります。このケースが一番費用を抑えられますので、修理業者を探す際には足場も自社で組めるか確認することをおすすめします。
無足場工法で工事をする業者を探す
屋根修理業者の中には、足場を設置せずに工事をすることもあります。主にロープやゴンドラを使って作業を行うのですが、これは「無足場工法」と呼ばれています。
建物との隙間が狭すぎて足場が設置できない外壁塗装などでよく用いられる工法で、主に外壁修理時に採用されています。屋根修理でも部分的な補修の場合に無足場工法で施工することがあります。
無足場工法は足場を組む費用がかからず工事期間も短縮できますが、作業員しか施工場所に立ち入れないため、お客さんが施工後のチェックをすることができません。
またゴンドラや高所作業車を使う場合は足場を組むのと同じくらい費用がかかることがあります。
無足場工法のメリットやデメリットを十分理解して、自分の家にはどの方法が最も適切か見極めるようにしましょう。
足場工事を依頼する際の注意点

屋根修理で足場を設置する場合は、これからご紹介するポイントに注意するとトラブルなく工事を行えます。
「足場代無料」をうたう業者には要注意
屋根修理の営業で、家に突然訪問してきて「足場代が無料になるキャンペーン中です」や「すぐ近くで工事をしているので足場代をタダにできます」と言って契約を迫ってくることがあります。
これは契約を取りたい悪徳業者がよくする手法なので、絶対に話に乗ってはいけません。実際に足場を組むには、パイプなどを運搬してきて数人がかりで1日かけて設置しなければならず、最低でも15万円ほどかかります。普通の業者であれば足場代を無料にすることは到底不可能です。
たとえ見積もりで足場代が無料になっていたとしても、他の項目に足場費用を上乗せしてある場合がほとんど。それどころか高額な修理代を請求されることもありますので、足場代が無料になるというセールスは断固として断るようにしましょう。
瑕疵保険に加入しているかをチェック
足場業者が「瑕疵保険」に加入しているかも、業者を選ぶポイントとしてチェックしましょう。「瑕疵保険」は通常、リフォームの依頼主が入る保険で、施工業者が倒産後に構造や雨漏りに関わる部分に不具合が生じた時、その補修費用を保険で充当できるというものです。
足場業者がこの瑕疵保険に加入している場合、万が一外壁や窓を破損したり駐車してある車にキズ付けても保証してもらえる可能性があります。足場業者というのは塗装業者や修理業者の下請けとして現場に入ることが多くあります。
そこで保険の対象がリフォーム箇所以外かつ工事関係者以外も含まれているか確認できるとより確実です。
近隣への挨拶を忘れずに
屋根修理で足場を設置する前には隣近所への挨拶を忘れずに行いましょう。足場を組む際にハンマーを使うと、周囲に大きな音が響くことがあります。また工事関係者の車が頻繁に出入りして、周りの道が混雑することがあるかもしれません。
さらに依頼主の敷地だけでは足場を組めない場合、隣の敷地にも足場を設置するという可能性もあります。「このような工事を○日間予定していますので、ご迷惑をおかけします」と丁寧にあいさつをすることで、工事中や工事後の近隣とのトラブルを避けることができます。
防犯に気を付ける
家の周りに足場を設置していると、防犯面で問題が生じることがあります。工事中は工事関係者が絶えず敷地に出入りするため知らない人がいても気にならず、庭先や玄関のものを盗まれてしまうことも。
また第三者が足場を使ってベランダなどに侵入して、盗撮用のカメラを仕込んだり、夜になるまで潜んでいることも可能です。足場設置中は何時にも増して防犯に気を付けることが必要になります。
具体的に防犯に役立つ方法として次のようなことに気を付けましょう。
- カーテンを閉める
- 窓にカギをかける
- 部外者が足場に入れないようにする
- 防犯カメラや防犯センサーを設置する
- 必要がない限り業者を家に入れない
空き巣や泥棒にとっては屋根や外壁が汚いままだと防犯に関してもいい加減に違いないと思われます。この先の防犯のためにも、屋根などは定期的にメンテナンスするようにしましょう。
1面のみの足場は避ける
「屋根の一部分のみを修理するんだから、その面だけに足場を設置すれば安く済むんじゃないの?」とお考えの方がいるかもしれません。しかし一面のみの足場設置はあまりおすすめできません。
というのも一面のみでは足場をがっちり壁や地面に固定することができず、大変危険なため。足元を気にしながらの作業は、修理の仕上がりにも左右します。
たとえ一部分のみの屋根修理であっても、安全性を高めるには少なくても3面に足場を組むようにしましょう。
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住宅にかける足場には主に3種類あり、それぞれ施工費用が異なります。足場費用は自分でも簡単に計算できますので、相見積で出た金額が妥当なのかを必ずチェックするようにしましょう。
足場費用は自社で足場工事をしている業者に依頼すれば抑えられます。悪徳業者に注意して外壁工事などと一緒にするとさらに安くできることも。工事中は防犯に気を付けて、近隣にも挨拶を欠かさないよう気を付けましょう。