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「火災保険で修理費用を全額カバーしたい」「火災保険を使うとどの程度保証されるの?」とお考えの方はいませんか?こちらの記事では火災保険で修理費用を全額まかなえるのか、どんな症状に火災保険が使えるのかを解説していきます。
保険が適用される災害とは?
火災保険には火災だけでなく様々な原因による補償が受けられます。ここでは屋根修理と関係が深い「風災」・「雪災」・「雹(ひょう)災」について詳しく見ていきます。
風災
風災というのは台風や竜巻といった風による自然災害のこと。他にはこのような風のことを風災と言います。
- 暴風雨
- 突風
- 竜巻
- 旋風
- 強風
- 春一番
ただし台風による洪水や高潮は対象外となります。強風には条件があり、最大瞬間風速が秒速20メートルを超える風がこれに当たります。
上記の災害によって屋根材が飛散したり、雨どいが破損した場合に保険が適用になります。
雪災
雪災というのは大雪や雪崩によって建物や屋根が被害を受けることです。北海道や東北の日本海側といった積雪が多い地域ではこの雪災が適用されるケースが多く見られます。
毎年1メートル以上の積雪がある地域では、雪の重みによって屋根や住宅の構造部分に圧力がかかり破損に至ることがあります。また雪崩に巻き込まれて住宅が倒壊した場合などにも適応されます。
雹(ひょう)災
雹というのは空から降る氷の粒のことで、豆粒のような小さなものからゴルフボール大のものまで様々なサイズがあります。主に積乱雲が発達しやすい5月から6月にかけてよく見られます。
サイズの大きな雹は重く、速いスピードで落ちてくるため屋根の雨どいや波板といった部分に簡単に穴を開けてしまいます。この場合屋根本体ではありませんが、住宅に付帯している付属物として火災保険が適応になるケースがあります。
保険適用となる被害の範囲
火災保険の風災や雪災などに遭った際に、どのような屋根の被害が適用になるのでしょうか。こちらは主な屋根被害の範囲です。
- 雨どいのゆがみ・破損
- アンテナの倒壊
- 瓦の浮き・ひび割れ
- 漆喰の崩れ
- 棟板金の破損
- 軒天のめくれ
- 破風板のゆがみ
- カーポートやテラス屋根の破損
屋根修理に火災保険を使うには?
屋根修理に火災保険を使うためにはどんな種類の保険で、どんな症状の時でしょうか。
火災保険の種類やタイプをチェック
まずは火災保険の種類やタイプを見ていきましょう。火災保険には大きく分けて3つの種類があることをご存知ですか?
それぞれ保証の範囲や掛け金の金額が異なります。また保険が下りる金額にも差がありますので、想定される被害やカバーできる範囲で選ぶことになります。
火災保険の種類 | 詳細 |
住宅火災保険 | 最も一般的な火災保険でカスタマイズが可能 |
住宅総合保険 | 住宅火災保険に水害や衝突などの被害もプラスしている 被害のカバー範囲が広く「オールリスク保険」とも呼ばれる |
火災共済 | 組合員によって構成された非営利団体による運営 一般の火災保険より保険金額が低い |
同じ火災保険でも負担額の違いで「免責方式」と「フランチャイズ方式」の2タイプに分類されます。
- 免責方式…加入者が自己負担負担額を設定。毎月の保険料は低めだが修理時の負担が増える。
- フランチャイズ方式…損害額が20万以上なら自己負担なしで修理できる。ただし20万円以下なら全額自己負担。
よく「20万円」が火災保険のキーワードになりますが、詳しく知りたい方はこちらの記事をお読みください。
https://ys-meister.jp/287屋根破損の原因が風災である
火災保険が適用される条件には、破損の原因が「風災」だと認定されなければなりません。風災というのは瞬間最大風速が20メートル以上の強風による被害のことで、大雪による「雪災」や雹(ひょう)が降ってきたことによる「雹災」も含まれます。
風や雪、雹によって屋根が吹き飛んだり、屋根に穴が開いた場合にその修理にかかる費用が火災保険でまかなえます。
火災保険が使える可能性の高い屋根の症状
火災保険では主に以下のような屋根の症状で使えます。
- 屋根材の割れ・ズレ
- 屋根材の脱落
- 漆喰の崩れ
- 軒天の剥がれ
- 雨どいの破損
- 棟板金の浮き・凹み
- アンテナ倒壊
- 止め具(釘・ビス)の浮き
もちろん修理をするための足場設置費用や雨漏りの原因を特定する調査費用も保証の対象となります。
しかし火災保険はあくまで屋根の原状復旧が目的です。屋根の美観を向上させる塗装工事や機能をアップさせる葺き替え工事といった全面リフォームは保証の対象外となります。
保険適用の条件に当てはまること
火災保険が適用されるには、上記のような原因の他にもこのような条件に当てはまらなければなりません。
- 屋根の修理が必要になってから3年以内である
- 屋根修理費用が20万円以上である
- 申請は加入者本人が行った
屋根修理には足場を架けることがほとんどです。足場代は15万~20万円ほどが相場になりますので、複数個所の修理と足場代で20万円以上にするのはそれほど難しくありません。
また保険を申請するのは加入者本人でなければいけないという決まりがあります。業者に代行してもらっても加入者が罰せられることはありませんが、保険会社の方が国から指導を受けます。
翌年からの保険料が上がったり保険の更新が出来なくなったりしますので、申請は修理業者に任せず、必ず自分で行ってください。
こんなケースは火災保険が使えない
ここまで火災保険が適用される条件をご紹介してきましたが、逆に保険を使えないケースを解説していきます。
- 経年劣化によるものと判断された
- 以前のリフォームや初期の施工ミスによるもの
- 故意による破損
- 修理してから数か月しか経っていない
- 修理費用の合計が20万円以下
- 修理が必要になってから3年以上が経過
屋根の被害が経年劣化によるものか風災によるものかの判断は非常に難しく、調査員によっても判断が分かれる場合があります。ただあまりにも長期間メンテナンスをしていないと、風災によって破損しても経年劣化とみなされることも。
きちんと適用してもらうためにも屋根のメンテナンスは定期的に行いましょう。屋根材ごとのメンテナンス方法については、こちらの記事を参考にして下さい。
火災保険で屋根修理費用が全額出る?
こちらでは火災保険で費用を全額カバーできるのかという保証金額の相場について見ていきます。
全額カバーできるとは限らない!
結論から申し上げますと、火災保険を使っても屋根修理費用を全額カバーできる訳ではありません。
屋根修理業者が訪問してきて「火災保険を使えば無料で屋根修理できますよ」と言って修理をすすめてくることがありますが、安易に契約するのは避けましょう。これは悪徳業者がよくやる手口で、修理を依頼した結果トラブルになったという情報が消費者センターに寄せられています。
被害の原因を特定するのは鑑定人と呼ばれる第三者機関で、保険の適用や受け取れる金額を調査の結果決定します。決して業者が判断できることではありませんので、「火災保険で無料に」というトークには気を付けましょう。
火災保険による保証金額の相場
火災保険で保証される金額はある程度相場が決まっています。100万円の屋根工事を行ったとすると平均で70万~80万円ほどが保険でまかなえます。
もちろん保険会社や保険の種類、保証の範囲によって金額が変わってきますので、同じ被害に遭っても20万円しか下りない家もあれば120万円下りるという家もあります。
火災保険を申請する際の注意点
火災保険で屋根修理をする場合、注意すべきポイントがいくつかあります。
悪徳業者による主なトラブル
冒頭でもご説明した通り、火災保険を使えば無料で屋根修理ができるという業者には注意が必要です。こちらは火災保険に関連したトラブルの一例です。
- 無料で直せると工事契約を結んだあとで火災保険の申請が通らず、契約を解除しようとしたら多額の解約金を請求された
- 保険金が出ると言われ前金を支払ったら結局保険金を受け取れず、全額自己負担になった
- 代理で保険申請をする業者に依頼したら、高額な申請手数料を支払うハメになった
- 保険金を受け取った後に追加工事が多く発生し、結局高額な工事費用を請求された
- 保険金で工事代金を支払ったが、いつまでたっても工事が着工しない
中には保険会社に対して虚偽の申請をするようにそそのかす業者もいます。
嘘だと分かっていながら申請し保険金を受け取ってしまうと、主導した業者だけでなく保険加入者であるあなたも詐欺罪に問われる恐れがあります。
保険で修理する場合は工事費の全額前払いを避け、信頼できる業者に依頼するようにしましょう。万が一訪問販売や電話勧誘で契約してしまった場合は「クーリングオフ」で契約を解除できることもあります。
実際に被害に遭ってしまったり、トラブルに発展した場合はお近くの消費生活センターに相談することをおすすめします。
申請から支払いまでは時間がかかる
火災保険を申請して実際に保険金が手元に来るまでには、少なくとも1か月前後の時間がかかることを覚えておきましょう。書類審査や事実確認の調査が手間取って、承認が下りるまで2~3か月かかるというケースもあります。
業者の中には「工事代金をいくらかでも払ってもらわないと工事が出来ない」と修理が進まないこともあります。とはいえひどい雨漏りや破損の場合、新たな被害が出る恐れがありますので、二次災害を防ぐためにも応急処置はやってもらうようにしましょう。
火災保険を使った修理に慣れている業者を選ぶ
火災保険を申請する際には見積書や被害か所の写真、屋根調査報告書などの書類を送らなければなりません。これらは業者に提出してもらうようになりますが、火災保険を使った屋根修理に慣れている業者なら書類の作成はもちろん申請のアドバイスを得られることもあります。
火災保険の申請にはとにかく時間がかかります。被害が発生したらなるべく早めに火災保険による修理実績が豊富な業者を見つけて、見積書やその他の書類を準備してもらうようにしましょう。
火災保険が使えるかの判断は損害の認定による
これまでご説明した通り、火災保険が適用になるかの判断は鑑定士による現場調査の結果で決まります。また支払金額も同様に決定されますので、いくら業者に「全額保険で修理できます」と言われてもうのみにしないよう気を付けてください。
安易な自己判断や業者のセールストークに惑わされず、保険金額が決まる前に高額な工事契約を結ばないようにしましょう。
火災保険以外に全額をカバーする方法は?
実は火災保険以外に屋根修理を全額カバーできる方法があります。これからご紹介する条件に当てはまる方は、これらの方法を検討してみては?
契約不適合責任(瑕疵担保責任)で無料になる場合
新築で住宅を建ててから10年以内の雨漏りには「契約不適合責任」(旧:住宅瑕疵担保責任)により無料で修理できる場合があります。
これは購入した住宅に雨漏りが発生したり構造部分に重大な欠陥が見つかった場合、住宅を販売したハウスメーカーや建築した工務店が責任を持って修理しなければならないという制度のことです。
ただし雨漏りの原因が施工不良などではなく台風や豪雨といった自然災害が原因の場合は、ハウスメーカーや工務店の責任を問えないため無料で修理できない場合があります。
地震保険による保証
火災保険と一緒に地震保険に入っていると、地震によって建物が倒壊したり地震が原因の火災で焼失した場合に修理費を保証してもらえます。地震保険の支払いは損壊の程度によってパーセントが決まってきます。
- 全損…100%
- 半損…50%
- 一部損…5%
地震保険は建物だけでなく家財も保証の対象となっていますが、家財の総額が被害額全体の10%を超えている場合に限るなどの条件が付きます。
地震保険は単独で加入できるわけでなく、火災保険とセットで加入する決まりとなっています。地震保険の種類によっては火災保険の半額しか保証されないこともありますのでご注意ください。
屋根修理費用の自己負担を減らす秘訣
新築から10年以上経っているお宅や地震保険に加入していないお宅でも、屋根修理費用を安くできる秘訣があります。
国や自治体の補助金・助成金を活用
建物の耐震性を上げる葺き替え工事や、断熱性をアップさせる屋根工事では補助金や助成金を使ってお得にできる場合があります。
ただしこれらの制度には申請の条件や住宅の制限が設けられていることがほとんどで、予算や募集定員が決まっているため上限に達した時点で応募が締め切られてしまうこともあります。
屋根修理に利用できる補助金や助成金についてさらに詳しい内容は、こちらの記事をお読みください。
足場費用を節約する
屋根修理につきものの仮設足場ですが、外壁工事と一緒に行うと費用を節約できます。屋根工事でも外壁工事でも必ずと言っていいほど足場を設置しなければなりません。
別々のタイミングで工事をすると2度とも足場を掛ける費用が必要となりますが、一緒に工事をすることで1回分の足場費用で済むという訳です。特に風災で屋根が壊れた場合、外壁も同じように破損していることが多くあります。
関連記事:屋根修理に足場は必要?足場なしのメリット&デメリットと費用相場を大公開!
こまめなメンテナンス
屋根修理の費用を抑えるには、こまめなメンテナンスが大切です。普段から屋根材を止めているビスのサビや瓦のズレを見つけてその都度補修を行っている場合と、全くメンテナンスをしていない屋根では耐久性が大きく変わってきます。
また大きく壊れてから修理するよりも、マメに点検をして小さな補修で済む場合の方がトータルの修理費用を抑えられます。
屋根修理の自己負担費用をおさえるには、長い目で見ればこまめなメンテナンスが一番効果的です。
条件を理解して屋根修理に火災保険を使おう
屋根修理費用を全額火災保険でカバーすることは、今の火災保険制度では難しく、平均で全体工事費の70~80%ほどの金額となります。火災保険が適用されるには、原因や様々な条件をクリアしたうえで鑑定士の判断によります。
もし屋根修理に火災保険が使えない場合でも、少しでも自己負担額を下げる方法があります。自治体の補助金や地震保険、こまめなメンテナンスや足場費用の節約でお得に屋根修理をしましょう。