屋根にセメント瓦を使用しているけれど、どのような特徴があるのか分からない。セメント瓦を葺き替え・塗装するタイミングが知りたい。
セメント瓦を使用していることが分かっても、具体的な特徴やメンテナンス内容を知っている人は少ないでしょう。
当記事では、セメント瓦屋根の3つの特徴や塗装・葺き替えの注意点について紹介します。
この記事を読むことで、以下の3つについて理解することができます。
・セメント瓦の特徴
・セメント瓦のメンテナンス方法
・セメント瓦の塗装や葺き替えをするタイミング
セメント瓦の特徴について詳しく知りたい方は、ぜひ当記事をご覧ください。
セメント瓦屋根の3つの特徴
セメント瓦には、以下3つの特徴があります。
・デザインが豊富
・塗装が必要になる
・施工費用が安い
順に紹介していきます。
デザインが豊富
セメント瓦は、他の瓦よりもデザインが豊富です。なぜなら、セメント瓦は文字通りセメントを原料としており、様々なデザインに加工することができるからです。
洋風な瓦から和風なものまで形は自由自在。セメントに色を塗り込むことで赤色や青色、オレンジ色など鮮やかな色彩の瓦を作ることも可能です。
これらのことから、形や色で差別化の難しい他の瓦よりもデザインが豊富であると言えるでしょう。
塗装が必要になる
セメント瓦を使用した屋根は、必ず塗装をしなければなりません。塗装をしないと塗膜が薄くなってセメント瓦に含まれるカルシウムが流出してしまい、瓦が脆くなってしまいます。
セメント瓦が脆くなるということは、ちょっとした衝撃で割れやすくなるということですので、瓦の劣化を早めてしまいます。
メンテナンス状況によっては、セメント瓦の耐用年数である20年~30年が経過するまえに葺き替えが必要になる可能性もあるため注意しましょう。
施工費用が安い
セメント瓦は、施工費用が安いというのも特徴です。具体的な施工費用は以下をご覧ください。
瓦の種類 | 施工費用 |
セメント瓦 | 5000~8000円/㎡ |
塗装 | 1800~3500円/㎡ |
粘土瓦は1平方メートルあたり8000円~10000円が相場ですので、セメント瓦の方が安価であることが分かります。
また、塗装費用はどんな塗料を使用するかによって変わってきます。シリコン塗料を使用した場合は安価で済みますが、フッ素樹脂塗料には汚れが付着しにくいという特徴があるためより高価になります。
塗装するときは予算と相談しながら、塗料を決める必要があるでしょう。
セメント瓦屋根と間違えやすい瓦2選

瓦には複数の種類があるため、あなたの屋根の瓦がセメント瓦とは限りません。ここからは、セメント瓦と間違えやすい瓦を2つ紹介します。
実際に比較してみて、本当にセメント瓦が使用されているか確認してみてください。
陶器瓦
陶器瓦は粘土瓦の1つですが、セメント瓦は形を加工しやすいため素人には陶器瓦と見分けがつきません。セメント瓦と陶器瓦を見分けるときは、瓦の断面・表面に注目しましょう。
セメント瓦の断面は角ばっているのに対して、陶器瓦は丸みを帯びています。そして、陶器瓦の表面は釉薬でコーティングされているため、表面がツルツルしているというのも特徴です。
些細な違いではありますが、2つの瓦を見分ける時は重要なポイントになります。
モニエル瓦
モニエル瓦はコンクリートを原料としており、セメント瓦と非常によく似ています。しかし、モニエル瓦は粘土瓦よりも簡単に見分けることが可能です。
なぜなら、モニエル瓦の裏面にはアルファベットの「M」というロゴが入っているからです。セメント瓦には一切ロゴは記載されていませんので、すぐに分かるでしょう。
セメント瓦屋根によくある劣化症状

セメント瓦によくある劣化症状は、以下の4つです。
・色あせて塗料が剝がれる
・カビ・コケが繁殖する
・ひび割れが発生する
・瓦がズレる
順に紹介します。
色あせて塗料が剝がれる
ある程度の年数が経過すると、セメント瓦が色あせてしまいやがて塗料が剝がれます。色あせは雨風や紫外線に晒されることで起こるため、絶対に避けることはできません。
塗料が剝がれた状態で放置してしまうと、ひび割れやコケの繁殖の原因になります。定期的なメンテナンスは怠らないようにしましょう。
カビ・コケが繁殖する
塗料が剥がれて防水性が失われてしまうと、カビやコケが繫殖してしまいます。一度生えたカビやコケは繁殖を続けますので、取り除くか葺き替えをしなければなりません。
ひび割れが発生する
セメント瓦にひび割れが発生しているということは、わずかにあった防水性が完全に失われカルシウムが流出しているということです。
ひび割れた状態で放置した場合、台風や地震などの自然災害が発生した際に欠落する恐れがあり大変危険です。
瓦がズレる
全ての瓦に言えることですが、年数が経過すると瓦にズレが生じます。瓦のズレは欠落や雨漏りの原因になりますので、定期的に瓦をチェックする必要があるでしょう。
セメント瓦屋根のメンテナンス内容

セメント瓦の劣化を防ぐためには、定期的なメンテナンスが必要不可欠です。ここからはセメント瓦のメンテナンス内容を紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
主なメンテナンス内容は以下の3つです。
・汚れの除去
・漆喰の補修
・塗装
順に紹介します。
汚れの除去
セメント瓦に発生したカビやコケ、ホコリなどの汚れを除去します。カビやコケが繁殖している場合は、防水性が失われているので塗装しましょう。ただ、瓦の汚れは落ちにくいため高圧洗浄機を利用するのがオススメです。
漆喰の補修
漆喰とは瓦を屋根に固定するために使用される建材です。漆喰はセメント瓦にも利用されていますので、ひび割れや歪みが発生している場合は補修しなければなりません。
近年では「ハイロール」という耐用年数が長い建材が普及しており、漆喰を使用せずに瓦を固定できます。
塗装
セメント瓦は、塗装によって防水性が保たれています。そのため、塗膜が剥がれてしまうとセメント瓦の劣化を早めてしまいますので、定期的に塗装しなければなりません。
セメント瓦屋根を塗装・葺き替えするタイミング

大前提として、セメント瓦に劣化症状が見られた場合は塗装・葺き替えをしなければなりません。しかし、大幅に劣化してからでは塗装・葺き替えする範囲が広くなってしまいます。
そこでこの項目では、セメント瓦屋根を塗装・葺き替えするタイミングを紹介します。
塗装は10年前後
セメント瓦の塗装は10年前後が目安です。期間が短く感じるかもしれませんが、屋根は常に紫外線と雨風に晒されているので、数十年も放置してしまうとあっという間に劣化してしまいます。
また、地域によっては塩害の影響も受けるため、塗膜が剝がれてきたと感じたらすぐに塗装しましょう。
葺き替えは30年前後
セメント瓦の葺き替えは30年前後が目安です。そもそも、セメント瓦の耐用年数は30年ですので、定期的にメンテナンスをしても40年前後です。
逆に言えば、メンテナンスを行い劣化を防げば40年は持つ可能性がありますので、手入れを怠らないようにようにしましょう。
セメント瓦屋根を塗装するときの注意点

セメント瓦を塗装するときには、以下2つの注意点があります。
・塗料がセメント瓦に適用するか分からない
・丁寧な下地処理が必要
順に紹介します。
塗料がセメント瓦に適用するか分からない
塗料1つでも様々な種類があります。塗料の中には、セメント瓦に適用しないものがあるため注意が必要です。ホームページ等で「適用下地」という項目がありますので、セメント瓦が記載されているか確認しましょう。
丁寧な下地処理が必要
セメント瓦を塗装をする前に、丁寧な下地処理をしなければなりません。なぜなら、下地処理をしないと塗料がしっかりと定着せず、短期間で剝がれてしまう可能性があるからです。
セメント瓦屋根を葺き替えするときの注意点

注意点は塗装をするときだけではありません。セメント瓦の葺き替えをするときも、下記2つの注意点があります。
・廃盤になっている可能性がある
・アスベスト入りのセメント瓦は処分費用が掛かる
順に紹介します。
廃盤になっている可能性がある
セメント瓦は高度経済成長期に普及し始めたが、現在ではほとんどのメーカーが製造を中止しており廃盤となっています。
そのため、現在は中古でしか手に入らない状況ですので、別の瓦に葺き替えるのがオススメです。
アスベスト入りのセメント瓦は処分費用が掛かる
セメント瓦にはアスベストという鉱物が含まれていることがあり、処分する際は費用が掛かってしまいます。建物が2006年以前に建設された場合、アスベストが含有している可能性があるため、事前に調べておきましょう。
アスベスト入りのセメント瓦は、国土交通省の「含有建材データベース」から検索することができます。
セメント瓦の葺き替えにオススメな屋根材

セメント瓦の葺き替えをしようとしても、どんな屋根材を選べばよいのか分からない人は多いでしょう。結論から言うと、セメント瓦からの葺き替えであれば以下3つの屋根材がオススメです。
・ガルバリウム鋼板
・エスジーエル鋼板
・スレート
順に紹介します。
ガルバリウム鋼板
ガルバリウム鋼板はセメント瓦と同時期にアメリカで登場した屋根材で、瓦とは違い金属製です。セメント瓦よりも耐震性と耐久性に優れ、現在では多くの建築物に利用されています。
エスジーエル鋼板
エスジーエル鋼板はガルバリウム鋼板を改良したもので、マグネシウムが含まれるのが最大の特徴です。鋼板にマグネシウムを含有させることで従来の鋼板よりも錆にくくなり、ガルバリウム鋼板よりも長持ちです。
金属屋根の唯一の弱点は、瓦よりも錆びやすく穴が空いてしまうという点です。そのため、錆びにくいエスジーエル鋼板は非常に優秀な屋根材と言えるでしょう。
スレート
スレートはセメントを原料としており、セメント瓦よりも軽量で耐震性に優れているのが特徴です。日本ではメジャーな屋根材の1つで、セメント瓦に代わって多くの建築物で利用されています。
セメント瓦屋根の特徴まとめ

当記事では、セメント瓦屋根の3つの特徴と塗装・葺き替えの注意点を紹介しました。セメント瓦は優秀な屋根材として一時期注目されましたが、現在は生産しています。
近年ではエスジーエル鋼板のような安価で高性能な屋根材が登場してきていますので、こちらに葺き替えことを検討してみてください。