屋根塗装は屋根修理法の一つで、外観を美しく保つだけでなく劣化を防いだり雨が染み込むのを予防する役割があります。
そんな塗料には様々な種類や機能があるのをご存知ですか?今回は塗料の選び方や耐用年数などを詳しくご紹介。
そろそろ屋根を塗り替えようかとお考えの方は参考にして下さい。
屋根塗装はどんな屋根材の補修に必要?

屋根の塗装は屋根材を保護する大切な役割がありますが、どんな屋根材にも必要という訳ではありません。まずは塗装が必要な屋根材について見ていきましょう。
- セメント瓦
- モニエル瓦
- スレート
- ガルバリウム鋼板
- ジンカリウム鋼板
- トタン
これらの屋根には10年を目安に塗装工事が必要です。10年以上無塗装の状態だと色褪せやコケが発生するばかりか、雨漏りの原因になることもあります。
そしてこちらが塗装が不要な屋根材です。
- 粘土瓦
- 陶器瓦
- 天然スレート
日本瓦や天然石を用いたスレート屋根は塗装しなくても表面が劣化することがほとんどありません。
こんな症状があったら屋根塗装をすべき!
塗装が必要な屋根材が分かったところでどんな症状が現れたら塗装のタイミングなのでしょうか?
こちらは主な屋根の劣化症状です。このような症状が見られたら塗装の時期と考え、業者に依頼する準備を進めましょう。
劣化症状 | 詳細 |
色褪せ | 塗装のつやがなっくなった 新築時よりも色が薄くなった |
チョーキング | 手で触ると白い粉が付着する 紫外線により塗料に含まれる顔料が分離した症状 |
コケ・藻の発生 | 胞子を伸ばして屋根全体に広がる |
カビ | 金属屋根で発生しやすく赤カビや白カビがある |
塗装の剥がれ | 表面の保護膜が失われるため水を吸い込みやすくなる |
クラック | 塗膜の表面が紫外線等でひび割れる現象 |
これらの症状がたとえ現れていなくても、10年以上塗り替えしていなかった屋根材は表面の劣化が進んでいます。屋根としての機能を維持するためには10年単位での塗装がおすすめです。
屋根塗装の費用を左右する塗料の種類別価格と特徴

塗料の主成分は塗膜を作る油分「樹脂」と色を付ける「顔料」に分けられます。塗料の種類というのは樹脂の違いによって分類されています。
まずはどんな成分で塗料が出来ているのか見ていきましょう。
アクリル塗料
アクリル樹脂を主原料とする塗料で1950年頃から普及し始めた屋根用塗料。比較的安価で気軽に塗り替えできますが、耐久性が低いためこまめな塗り替えが必要です。
シリコン塗料などの高耐久塗料が使われるようになってからは、需要が少なくなっています。
耐用年数 | ㎡当たり単価 |
3~5年 | 1,400円~1,600円 |
ウレタン塗料
先ほどのアクリル樹脂にウレタン樹脂を添加した塗料。タイヤのゴムに使われているだけあり、伸縮性が良いのが特徴で密着性が高く光沢が美しく出せると人気になりました。
ただ耐候性が低く、紫外線などで塗膜が膨らむというデメリットがあります。アクリル塗料の次に安価なのでシリコン塗料が主流になる前まではよく使われてきました。
耐用年数 | ㎡当たり単価 |
7~10年 | 1,500円~2,200円 |
シリコン塗料
パッキンなどで使用されるシリコン樹脂が主成分のシリコン塗料は、耐熱性にすぐれ色褪せに強いのが特徴。また水を弾く撥水性能や防汚性にも富んでおり、紫外線にも強いというメリットがあります。
ただ密着性が低く、グレードによって性能に幅があります。下地調整をきちんとしないと塗料が乗らないといったデメリットも。
とはいえ現在では屋根塗装に一番よく使われている塗料で、価格も手ごろになっているため外壁塗装などとしても人気です。
耐用年数 | ㎡当たり単価 |
10~15年 | 1,800円~3,000円 |
フッ素塗料
フライパンのコーティングとして知られているフッ素を配合している塗料です。耐熱性や耐候性に優れ、色褪せや汚れに強く光沢感が美しい仕上がりになります。
一方で価格が高めで扱える業者がまだ少ないという難点も。しかしここ数年の技術開発による手の届く範囲にまで価格が下がってきました。特に日当たりのよい家や海沿いで塩害のある地域の家では、メンテナンスに手間がかからないと支持を得ています。
耐用年数 | ㎡当たり単価 |
15~20年 | 3,300円~4,500円 |
無機塗料
無機塗料の「無機」というのは、自然の鉱物である石やガラスのこと。この成分を取り入れた塗料で、経年劣化しにくく圧倒的な耐用年数の長さが魅力となっています。無機塗料には紫外線による分解エネルギーよりも高い結合力があり、宝石や鉱石のように長い年月を経ても美しい状態を保てるためです。
しかし㎡当たりの単価は4,200円~5,500円と高額で、取り扱える業者が少ないのがデメリットです。
耐用年数 | ㎡当たり単価 |
20~25年 | 4,200円~5,500円 |
ラジカル塗料
ラジカル塗料は「ラジカル制御型塗料」といい、顔料の中に酸化チタンを含んでいるもの。この酸化チタンが紫外線に触れると発生する物質を「ラジカル」といい、白い粉状となりチョーキング現象を引き起こします。
このチョーキング現象を起こしにくくするために、ラジカル塗料が開発されました。2015年に発売された比較的新しい塗料で、価格がそれほど高くないにもかかわらず高性能なのが特徴。
ただ発売から数年しかたっていないため、実績は未知数で知名度がそれほどないのがデメリットです。
耐用年数 | ㎡当たり単価 |
8~13年 | 2,500円~3,000円 |
塗料の機能でも価格が変わる

塗料には上にあげた塗膜の種類の他にも様々な機能を持つものがあります。屋根にどんな役割を持たせたいか?によってプラスアルファの機能を追加してみてはいかがでしょうか。
遮熱塗料
遮熱塗料は太陽光の紫外線を反射することで、熱を吸収するのを防いでくれる役割があります。樹脂にセラミックや特殊な顔料を配合させ、太陽光線の大部分を反射する力を持たせています。
日当たりの良すぎる部屋が夏でも過ごしやすくなったり、エアコンの効きが良くなるなどのメリットがあります。ただし冬の寒さに対する耐寒性はありません。
価格は上で説明した金額と同じくらいかプラス1,000円程度。室温の上昇を抑えたい、電気料金を節約したいという方におすすめの塗料です。
断熱塗料
断熱塗料は遮熱塗料と異なり、夏の暑さから室内を守ってくれるだけでなく、冬場のあたたかい室内の空気を外に逃げるのを防ぐ役割があります。
というのも塗膜の大部分にはセラミックが使われており、それが粒状になって空気の層を作っています。塗膜の表面に空気の層が集まるように設計されているため、断熱材と同じ原理で内と外の温度の伝わりを遮断してくれるという仕組みです。
無機能の塗料より1,000円~2,000円ほど高いのですが、屋根にも断熱性を持たせたいというお宅にはピッタリの塗料です。
光触媒塗料
光触媒塗料は紫外線に触れると活性酸素を発生させる物質を配合した塗料のこと。この活性酸素は空気中の汚染物質を分解する力があるため、排気ガスなどの汚れが付着するのを防いでくれます。
また親水性が高く、雨水とくっつきやすい性質があります。これにより表面に浮き出た汚れが雨で洗い流されるという「セルフクリーニング効果」が得られるのです。
交通量が多い道路沿いの家や、屋根の勾配が急で屋根の汚れが目立ちやすい家におすすめ。耐用年数は15~22年と長いですが、普通のシリコン塗料の約1.5倍の価格になるのがデメリットです。
常に日陰になっているような屋根や、日当たりの悪い家では思うような効果が発揮されません。家の立地や屋根の日当たりも考慮したうえで選ぶことをおすすめします。
屋根塗料の選び方6つのポイント
ここで屋根塗料の選び方をご紹介していきます。塗料選びに悩んだら、こちらを参考にしましょう。
屋根材に対応した塗料を選ぶ
屋根材には様々な種類があり、屋根材に対応した塗料を選ぶ必要があります。特にモニエル瓦やセメント瓦などの瓦屋根、コロニアルやカラーベストといったスレート屋根には、専用の下塗り塗料を使うようにしましょう。
下塗り塗料というのは、色付きの塗料の下に塗るもので屋根材と塗料をくっつける接着剤のような役割のもの。デコボコしている瓦屋根やスレート屋根の表面には「フィーラー」という下塗り塗料を塗らなければなりません。
住んでいる地域や立地条件で選ぶ
お住いの地域や立地条件で塗料を選ぶという方法もあります。例えば西日がよく当たるお宅では、室温の上昇を抑える遮熱効果のある塗料が適していますし、屋根が急で屋根面が目立つ場合は光触媒塗料がおすすめ。
また海の近くで塩害が気になる地域では、メンテナンス期間が長いフッ素塗料にするなど家の状況や地域、屋根に求める機能に応じて選んでみましょう。
油性か水性かで選ぶ
同じアクリル塗料であっても、薄める液体によって油性と水性に分かれます。油性塗料はシンナーなどの溶剤で薄めて使い、水性塗料は清水で薄めます。
油性塗料独特のツンとした匂いはシンナーによるもので、保管や扱いに注意が必要です。耐久性が高く紫外線にも強いため屋根塗装に適していますが、ホルムアルデヒドによるシックハウス症候群の方や匂いによる健康被害が気になる方は控えた方が良いでしょう。
一方の水性塗料は匂いの心配がなく環境や人体にも優しい特徴があります。ただ乾いたときのツヤが弱く、油性に比べると耐久性が低くなります。しかし最近では油性塗料と変わらない耐久性を持つ水性塗料も開発されていますので、ホルムアルデヒドが気になるという方にも選ばれるようになりました。
ツヤあり・ツヤなしで選ぶ
塗料はツヤの度合いによって「ツヤあり」から「ツヤなし(マット)」まで5段階に分けられます。見た目でツヤなしを選びたいという人がいるかもしれませんが、屋根に塗る塗料は基本的に「ツヤあり」を選んだ方が良いでしょう。
というのもツヤなし塗料だと汚れが落ちにくい、耐久性が低くなるなどのリスクが発生します。またツヤあり塗料でもある程度時間が経つとツヤが落ち着いてそれほど目立たなくなります。
外壁と違ってあまり人の目に触れることのない屋根は、より機能面を重視してツヤありを選んだ方がメンテナンス的にもおすすめです。
外壁よりランクが高い塗料を選ぶ
屋根の塗料を選ぶ際には、外壁塗装の塗料よりもワンランク上の塗料を選ぶと良いでしょう。屋根というのは外壁と違って紫外線や風雨を遮るものがありませんので、塗料の劣化が外壁よりも2倍早くなるといわれています。
外壁塗装と屋根塗装を同時期にした場合、ワンランク上の塗料を屋根に塗っておくと次も同じタイミングで塗り替えができるので、メンテナンススケジュールを組みやすく足場費用が抑えられるというメリットもあります。
耐用年数で選ぶ
塗料は塗膜の種類に応じて耐用年数に差があります。耐用年数は次の塗り替えまでの時期を示すものなので、なるべく塗り替え時期を伸ばしたい方は耐用年数が長いものを、頻繁に塗り替えたいという方は耐用年数が短い塗料を選んでください。
ただ耐用年数が短い塗料というのは耐久性が弱いということになります。直射日光を浴びている屋根は、高い場所にあるため塗膜が劣化していても気が付きにくく知らず知らずのうちに不具合を起こしている場合がありますのでご注意ください。
屋根塗装の費用を抑えるコツ
最後に屋根塗装の費用をおさえるコツをご紹介していきます。
外壁塗装と一緒に行う
屋根塗装は必ず足場を組んで行います。これは職人が安全で効率的に作業をするために必要なのですが、30坪のお宅では足場費用だけでも約15万~20万ほどかかってしまうことがあります。
そこで同じく足場が必要な外壁塗装と一緒に行うことで、足場工事の費用を1回分減らせます。外壁で使った塗料よりもワンランク上の塗料を屋根に塗れば、次の塗り替えも同じタイミングで出来るようになります。
閑散期に依頼する
屋根塗装の費用は一年を通して価格が違うということはありませんが、閑散期に依頼すると値引き交渉しやすくなるというメリットがあります。特に屋根工事が少ない12月~2月までと7月~9月は塗装工事が少なくなるため、仕事が欲しい業者が値引きに応じてくれる可能性が高まります。