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ベランダや物置小屋の屋根に使われている波板屋根を修理するにはどの位の費用がかかるのでしょうか?
今回はDIYと業者に依頼する場合の費用の相場の違いやDIYで修理する時の注意点、波板の種類ごとの価格の違いなどについて解説。
家の波板屋根が古くなってそろそろ修理したいとお考えの方は、DIYや業者に依頼する際の参考にしてください。
波板とは?
波板とは文字通り波のようにうねった形状をしている建材のこと。加工のしやすさや価格の安さからベランダやバルコニーの屋根やカーポートの屋根として広く用いられてきました。
一昔前までは塩化ビニル樹脂製がほとんどでしたが、最近では劣化しにくく耐久性の高い材質のものも販売されています。
とはいえ構造的に考えると、どうしても風に弱いというデメリットがあります。普通の屋根材のように小さいピースの屋根材を一枚づつ下地に張りつけていく施工方法ではなく、一枚の大きな波板をビスやフックで骨組みに取り付けているため、どうしても下からの風で波板がめくれて上がってくることも。
長い年月風雨にさらされて劣化が進んだ波板が、突風を受けてバラバラに飛び散ってしまうこともあるため、定期的に交換する必要があります。波板は規定のサイズやピッチが決められているので、必要サイズの計算さえ間違わなければ素人でもDIYで修理が可能です。
波板の規格とサイズ
先ほども少し触れましたが、波板というのはJIS規格により寸法が標準化されています。波板のピッチ幅と谷深さのサイズから、次の4種類に分けられます。
- 鉄板小波…ピッチ約32×谷深さ9mm
- スレート小波…ピッチ約76×谷深さ18mm
- 鉄板大波…ピッチ約63×谷深さ18mm
- スレート大波…ピッチ約130×谷深さ36mm
ベランダやカーポートの屋根にはほとんどの場合、鉄板小波を使用しています。鉄板小波には長さが3尺から10尺までの8サイズがあり、それぞれの寸法はこのように決まっています。
幅 | ピッチ | 長さ |
655mm | 約32mm | 3尺:910mm 4尺:1220mm 5尺:1520mm 6尺:1820mm 7尺:2120mm 8尺:2420mm 9尺:2730mm 10尺:3030mm |
DIYで使われる波板は、ホームセンターでも品ぞろえがある3尺の長さがほとんどです。
波板の材質ごとの価格と寿命
波板には材質の違いから5種類に分けられます。それぞれの波板の特徴と耐久年数、1枚当たりの単価について見ていきましょう。
塩化ビニール樹脂
昔の波板と言えば塩化ビニル製がほとんどを占めていました。安価で柔軟性があるため大きなハサミを使って切断することが可能に。手に入れやすい素材のため、DIYでの難易度もそれほど高くありません。
しかし柔らかい材質のため熱で変形したり変色する恐れが。また長期間紫外線にさらされると劣化によりボロボロになってしまいます。そのため耐久年数は他の波板に比べて短く2~3年ほどとなっています。
耐久年数 | 価格(1枚当たり) | 光線透過率 |
2~3年 | 500円~700円 | 約75% |
ガラスネット
ガラスネットとは塩化ビニルをガラス繊維で固めた波板のこと。塩ビ製に比べると耐久性がアップし、強度が高くなります。またガラス繊維を使っているため光を透過しやすいのもメリット。
比較的安価で色褪せしにくいことからエクステリアでもよく使われています。ただしこれからご紹介する波板よりは劣化が早く耐久性に劣るため、決して高品質の波板とは言えません。
耐用年数 | 価格(1枚当たり) | 光線透過率 (クリア) | 光線透過率 (ブロンズ) |
5~7年 | 700円~900円 | 約75% | 約40% |
ガラスネットの波板の耐用年数は5年から7年ほど、価格は800円前後となります。
ポリカーボネート
熱可塑性プラスチックの一種であるポリカーボネートは、塩化ビニルに比べて強度があり、耐用年数も7~10年と長いのがメリットです。その一方でのこぎりなどで女性でも切断可能なので、DIYでも扱いやすい波板。
また熱に強いという特徴の他にも紫外線をほぼ100%カットしてくれるという利点があるため、住宅のエクステリアに多く用いられています。カラーバリエーションが豊富で色の選び方によっては視線を遮る効果が期待できるため、ベランダ屋根におすすめです。
耐久年数 | 価格(1枚当たり) | 光線透過率 (クリア) | 光線透過率 (ブロンズ) |
7~10年 | 700円~900円 | 約86% | 約62% |
カラートタン
カラートタンは古くからある波板で、鉄板に亜鉛をメッキしたもの。安価で比較的軽いのですが、年数が経つとサビてしまったり、切断するのに電動工具が必要です。
耐用年数 | 価格(1枚当たり) |
10~15年 | 700円~900円 |
耐用年数は10~15年、1枚当たりの価格は700円~900円です。
ガルバリウム鋼板
住宅の外壁や屋根にも使用されているガルバリウム鋼板は、トタンよりもさびにくく耐久性が高いのがメリット。他の波板に比べて耐熱性や耐腐食性に優れているため、海の近くでも塩害でサビにくくなっています。
とはいえ切断するには電動のこぎりが必要で、価格は900円~と高めのため、使用場所を絞って使うと良いでしょう。
耐用年数 | 価格(1枚当たり) |
15~20年 | 900円~1200円 |
波板屋根の修理はDIYでできる?
ここでは波板屋根をDIYで修理する時の道具や手順についてご紹介していきます。
必要な道具や材料
必要な材料はこちらの通りです。
- 波板
- 固定金具
- 電動ドライバー
- 脚立
- メジャー
- 金のこぎり
作業の工程
波板の交換作業は事前に道具などを準備すればDIYでも行えます。ただし脚立を使って交換になりますので、高所での作業に慣れていない方は2人以上で行うことをおすすめします。
波板交換の手順は以下の通りです。
- 古い波板を撤去する
- 骨組みを洗浄する
- 現場の長さに応じて波板をカット
- 波板に下穴を5~6山おきに開ける
- 波板にフックを掛ける
- 横方向に取り付ける
作業時間は1台分のカーポートで4~5時間ほど、材料費は6千~1万円で交換できます。
DIYで修理する際の注意点
ここでDIYで波板を修理する際の注意点をご紹介していきます。仕上がりのクオリティを左右する部分でもありますので、ポイントを押さえて作業しましょう。
枚数を計算する時は重ね代を考えて
波板の枚数を計算する際には、波板同士を重ねる重ね代を考えましょう。重ね代は通常2.5山、約80mm必要です。これを少なくすると波板の強度が落ちたり雨漏りの原因となります。
つまり波板の幅が655mmとすると、そこから重ね代分の80mmを差し引いた575mmが有効幅ということになります。最後の一枚は重ね代が必要ありませんので、波板を設置する場所の幅から80mmを引いて、有効幅の575mmで割れば必要な波板の枚数が算出できます。
例えば幅6m(6000mm)の場所に波板を設置する場合は、
(6000mm-80mm)÷575mm≒11枚(10.295…の小数点繰り上げ)
という計算により、11枚必要だということが求められます。上記のようにピッタリ割り切れない時は重ね代の山の数を増やして調整します。
重なり部分の向きに注意
波板同士を重ねた時に水漏れしにくくなるように、向きにも注意して施工しましょう。通常波板を葺く時には風下側から施工していきます。そして重なり部分の向きはこうなるように気を付けてください。
- 重なり部分の上側の端は下向きで
- 重なり部分の下側の端は上向きで
また軒先から出る波板の長さは100mm以下になるよう計算してください。風が強く吹く地域はこれよりも短くすると壊れにくくなります。
波板を固定する止め具の選び方
波板を新しくする際には、固定するフックも一緒に交換することをおすすめします。フックには固定する部分の材質や形に応じて選んでください。
止め具の種類 | |
ねじ止め用止め具 (傘釘) | 木枠に施工する時 |
引っ掛けフック (フックボルト) | カーポートの枠組みなどフレームに引っ掛ける時 |
丸パイプ用フック | パイプの骨組みに設置する時 |
フックにもいくつかの素材があり、価格が安いものではプラスチック製、強度を重視するならポリカーボネート製やステンレス製から選べます。ただ廉価なものは劣化が早く、破損の原因にもなります。
もしフックの種類に迷ったら、もともと付いていた物と同じ種類を選べば間違いないでしょう。
温度差による変形を計算する
波板は温度変化により変形します。そこで力を逃がして波板の割れを防ぐ意味で、フック用に開ける穴は、フックの太さより2~3mmほど大きめに開けるようにしましょう。
特にに日向に設置する場合や昼夜の寒暖差がある地域では、波板が変形しても大丈夫なように大きめに穴を開けるようにしましょう。
波板屋根の修理を業者に依頼する際の費用と日数
DIYで波板を交換する場合、腕に自信がないと仕上がりに不安が残ります。強風などで波板が飛ばされる可能性もありますので、費用は掛かりますが自分で取り付けるよりも確実で安心。
また取り付ける木枠が腐食していたり、2階のベランダ屋根に設置する場合は危険が伴いますので、専門の知識や経験があるプロに任せた方が良いでしょう。
業者に依頼する際の波板張り替えの費用は1尺(約30㎝)当たりで500円~700円が相場です。
工事内容 | 費用相場 |
カーポート屋根工事(8尺) | 6万~9.5万円 |
ベランダ屋根工事(6尺) | 4万~8.5万円 |
8尺のカーポート屋根では6万~9.5万円、6尺のベランダ屋根工事では4万~8.5万円ほどかかります。
波板屋根を修理する際のポイント
波板屋根を修理する時、DIYや業者に依頼する場合に関わらず注意すべきポイントがあります。
ベランダ屋根が傷んでいると床も劣化している可能性が
波板で葺いたベランダ屋根が傷んでいる場合、ベランダの床も劣化している可能性があります。もちろん使っている部材によって劣化具合は異なりますが、同じ年数だけ風雨にさらされているのであれば、同じように傷んでいると考えるのが自然だからです。
ベランダ屋根が交換時期に来ているのであれば、ベランダの床も防水機能が落ちてきてトップコートを塗り替えたり、防水工事を行う時期に来ていることになります。
ベランダの防水工事だけなら足場は必ずしも必要ありませんが、材料の搬入や置き場所として足場があれば工事がスムーズに進みます。ベランダ屋根工事とセットで行えば足場代を節約して工期も短縮できます。
材質は採光性や紫外線カット率を考えて選ぶ
波板の材質は設置場所に応じた採光性や紫外線カット率のものを選ぶようにしましょう。ベランダのように屋根の下に光を通して洗濯物を乾かしたいという時は、採光性の高い透明な波板を選ぶようにしましょう。採光性の高い波板の中でも、変色しにくい材質を選ぶと効果が長続きします。
またカーポートといった屋根下の日焼けや車の色褪せを避けたいなら、紫外線カット率の高いポリカーボネート製の波板を選ぶと良いでしょう。さらに熱伝導率が低い材質を選ぶと、屋根下の急激な温度上昇を防いでくれる効果が得られます。
DIYで波板屋根を修理する時は強度に気を付けよう
カーポートやベランダの屋根におすすめな波板は、様々な種類があり価格や特徴が異なります。波板を屋根に葺く際には、屋根にどんな効果を求めるかを考えると使うべき材質が明確になります。
波板はホームセンターなどで手軽に手に入り価格も安いのでDIYで施工ができます。とはいえ重ね代の幅や重ねる向きを間違えると、強度不足や雨漏りの原因となりますので十分注意して取り付けましょう。
またDIYで葺いた屋根は、施工不良や経年劣化による不安が残ります。こまめな点検はもちろんですが、少しでも心配な箇所がある場合は早めにプロに相談して適切な補修や修理をしてもらいましょう。