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セメント瓦屋根まるわかり!塗装、屋根材、価格、施工方法で選ぶ屋根リフォーム

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「セメント瓦って普通の瓦とどう違うの?」「セメント瓦のリフォーム方法が知りたい」という疑問や要望がある方に、こちらの記事ではセメント瓦の基礎知識からメーカーごとの商品についてやリフォームのタイミングをご紹介します。

また他の屋根材との比較や瓦の種類についても詳しく解説していきますので、屋根材選びの参考にできること間違いありません!葺き替えや重ね葺きの時期が近付いてきたけど、どんな屋根材にしたらいいか悩んでいるという方も必見です。

この記事を監修した人

監修者

GSOホールディングス株式会社 代表取締役社長 折原仁
GSOホールディングス株式会社 折原仁

1999年生まれ、千葉県出身。高校アマチュアボクシングで千葉県1位、関東2位の成績を残した後、羽田空港ANAの子会社など様々な仕事を経験した後、21歳で起業。翌年にGSOホールディングスを立ち上げ、創業2年目にして年商10億円企業にまで成長させる。著書に『100%失敗しないリフォーム会社の選び方』『若者のグローバル化が日本を変える』などがある。

セメント瓦ってどんな屋根材?

セメント瓦を知るには使用している材料や構造、特徴について知る必要があります。こちらではセメント瓦の基礎中の基礎の知識を解説していきます。

セメント瓦の材料・構造

セメント瓦はセメントと川砂を1:2~3の割合で混ぜ合わせてモルタルをつくり、型に入れて成型して乾燥後に塗装した屋根材です。住宅不足だった1970年~1980年代の高度成長期に広く用いられるようになりました。

屋根に葺く際はこれまでの日本瓦と同様に、コンパネなどで野地板を敷いた上に防水シート(ルーフィング)を敷設、瓦桟(かわらざん)や桟木といった横に渡した木の上に瓦を乗せていきます。

費用は安価だが補修が必要

セメント瓦はこれまで主流だった日本瓦(粘土瓦)に比べると格段に安くできるため、かつての戸建て住宅屋根に使用されてきました。また施工もこれまでの瓦と同じで取り扱える業者が多かったのも、安く施工出来た理由です。

ただし耐用年数が長い粘土瓦と比べると、瓦表面の塗装といった補修メンテナンスが必要です。このメンテナンスを怠ると瓦が劣化し雨漏りに至ることもあります。

寿命は30~40年

セメント瓦の寿命は30年~40年と、屋根材の耐用年数としてはそれほど短くありません。ただ陶器瓦と比べると短く、塗装メンテナンスが必要なことから現在の新築住宅にはほとんど使われていません。

これに伴い製造するメーカーも減少していますので、瓦の葺き替えなどで新しい瓦が必要になった時には、同じメーカーの新品を探すのが非常に困難になっています。

屋根の上では歩き方に注意する

セメント瓦を葺いた屋根の上を歩く際には、間違った場所に足を乗せると瓦が割れてしまう恐れがあります。特に塗装がはげて水が染み込んだ瓦はもろくなっていますので、一層の注意が必要です。

瓦の上を歩く際には必ず瓦同士が重なっている部分に足を乗せると、ズレにくく割れにくくなります。逆に瓦の一番高くなっている部分に体重をかけると、周囲の瓦が浮き上がって瓦が乱れ、割れやすくなります。

桟木の代わりに土を使って葺く「土葺き工法」では瓦同士が重なっている部分ではなく、その少し上を歩くと良いでしょう。施工方法や瓦の形状によって歩き方も変わってきますので、瓦の上を歩く際は十分に注意しましょう。

セメント瓦屋根から見る瓦の種類・見分け方

セメント瓦は「瓦」という屋根材の一種ですが、他にどんな瓦があるか知らない方も多いのではないでしょうか。セメント瓦と他の瓦の見分け方もお教えしますので、自宅の瓦がどの種類になるかチェックしてみましょう。

型に入れて固めたセメント瓦

セメント瓦はセメントと砂や石灰を混ぜて成形したものをいいます。製造方法や製造メーカーの違いによってこちらも3種類に分けることができます。

プレスセメント瓦

セメントと川砂を水で混ぜ、成形した後に圧力をかけて固めたのがプレスセメント瓦です。圧力をかけることで密度が上がり、屋根材としての強度を増すことができます。

日本では主に九州や四国地方で使用され、加圧して成型した後は高耐久の塗料で着色することがほとんどです。「厚形スレート瓦」ともいい、反りなどの狂いがないので施工しやすいのが特徴です。

コンクリート瓦

セメント瓦の中には「コンクリート瓦」という種類もありますが、製造方法は他のセメント瓦とほぼ同じです。モルタルを主成分にしており、セメントの配合がやや少なくなっています。

平べったい長方形の形をしていることが多く、屋根に葺いたときにシンプルでシャープな見た目になります。あまり需要が高くなく、現在ではほとんど製造されていません。

モニエル瓦

モニエル瓦は「ラファージュルーフィング株式会社(旧日本モニエル株式会社)」という外資系企業が取り扱っていたセメント瓦のことをいいます。「乾式洋瓦」とも呼ばれ、現在は廃盤となっており入手が非常に難しい屋根材です。

海外の住宅で使われているような洋瓦で、F型・S型の二種類の形があります。小口(瓦のサイド部分)がデコボコしているのが特徴です。モニエル瓦にはコンクリートの基材の上に着色スラリーを厚く塗布して防水性を高めています。

モニエル瓦を塗装し直す際には、このスラリー層を高圧洗浄できちんと除去してからでないと再塗装できません。もしくは専用の下塗り材を使用する必要があるため、モニエル瓦の塗装に慣れた業者に依頼するようにしましょう。

粘土を成形し焼き上げた粘土瓦

粘土を瓦の形に成形して高温で焼き上げた粘土瓦は基本的に塗装が必要ありません。粘土瓦は成型後の製造方法によって3種類に分けられます。それぞれの作り方や特徴を見ていきましょう。

陶器瓦

釉薬(うわぐすり)を表面に塗って焼き上げる陶器瓦は、お茶碗と同じようにツルツルした手触りに仕上がります。瓦の表面にはガラス質のコーティングがされ撥水性があり、瓦の中では最も耐久性が高くなります。

耐用年数は50年以上と長く、割れない限りは半永久的に使用可能です。釉薬により様々な色を出せ、変色しにくいのも陶器瓦のメリットです。

素焼瓦

粘土を瓦の形に成形して、何もつけずに焼き上げた瓦を素焼瓦といいます。自然の土色が魅力で、屋根に葺いたときにオレンジ色に仕上がります。

素焼瓦は吸水性が高く、余分な湿気を吸い込んでくれます。夏の暑い時期には瓦の中の水分が気化する際に周りの熱を奪うことから、打ち水をしたような涼しさを得られるのです。

素焼瓦は土の色がそのまま瓦の色になるため、数種類の粘土を使用して異なる色の瓦を作り、混ぜて葺くこともできます。耐用年数は30年~50年ほどで陶器瓦ほど長くありませんが、屋根の色を明るくしたい方におすすめです。

いぶし瓦

いぶし瓦は釉薬を使わず、素焼瓦の状態から煙でいぶして仕上げます。褪せたような灰色や銀色をしており、渋い屋根にするにはおすすめです。

いぶして付けた色は瓦の内部にまで至り、時間が経つにつれて色むらが出てきますが、それが屋根の『味』となります。

セメント瓦と他の瓦の見分け方

瓦の種類があることをご存知ない方にとって、セメント瓦と他の瓦の違いは分かりにくいのではないでしょうか。こちらではセメント瓦と他の瓦の見分け方についてご紹介していきます。

形の違い

セメント瓦と他の瓦では形に違いがあることが多いです。伝統的な陶器瓦は丸みを帯びている形がある一方で、セメント瓦は角ばっていて平たい形をしています。

またスレート瓦との形の違いでは瓦の厚みに違いがあります。スレート瓦は厚みが1㎝以下であるのに対し、セメント瓦は1㎝以上の厚みがあり大きさも一回り大きくなっています。

劣化症状の違い

劣化症状の違いでもセメント瓦と他の瓦を見分けることができます。

瓦の種類劣化症状耐用年数
セメント瓦目立った症状が出ない50年~100年
陶器瓦表面がザラザラする
塗膜が剥がれて色褪せる
30年~40年

陶器瓦は非常に耐久性が高いため表面に症状はほとんど現れませんが、セメント瓦は防水性が落ちると表面がザラザラしたり色褪せが目立つようになります。

セメント瓦と他の屋根材を徹底比較

家の屋根を決める際、屋根材を何にするかは重要です。セメント瓦以外の屋根材の特徴についても見ていきましょう。こちらはセメント瓦を含む5種類の屋根材を比較した一覧表です。

屋根材の種類価格(/㎡)耐用年数メンテナンス耐火性耐震性・耐久性
セメント瓦8,000円~30~40年10年~
スレート6,000円~20~30年10年~
ガルバリウム鋼板7,000円~20~30年15年~
トタン屋根5,000円~10~20年10年~
アスファルトシングル5,000円~10~30年10年~×

セメント瓦以外の4種類について材質や特徴、適している人をご紹介します。

スレート

スレートは天然の粘板岩をスライスした天然スレートと人工的に作った化粧スレートの二種類があります。最近人気の化粧スレートはセメントにパルプ繊維を混ぜて板状に成形した屋根材です。

商品名から「コロニアル」や「カラーベスト」という名前でも知られ、工事費用が比較的安く軽くて建物の耐震性を高められます。また施工が難しくなく、施工できる業者が多いのもメリットです。

一方で地震や衝撃で割れやすく強風で飛散する恐れがあります。またセメント瓦同様塗装メンテナンスが必須で古いスレートにはアスベストが含まれていることがあります。

とはいえメンテナンス次第で寿命を伸ばせるという利点があり、屋根材にコストパフォーマンスを求める人に向いています。

ガルバリウム鋼板

ガルバリウム鋼板はアルミニウムに亜鉛やシリコンをメッキした金属製の屋根材です。軽量で頑丈なため耐震性が高く、金属屋根の中ではサビにくいのが特徴となっています。

雨漏りがしにくく既存の屋根の上から施工する「カバー工法」に適しています。他の金属による傷が付きやすく雨音が響くというデメリットがありますが、雨漏り対策やカバー工法でリフォームしたいという人におすすめです。

トタン屋根

亜鉛でメッキ加工した鉄板素材の屋根材がトタンです。材料費や施工費が安く軽量で地震にも強いメリットがあります。また積雪の多い地方でも良く用いられている屋根材です。

ただしサビやすく耐用年数が短い特徴があります。また断熱性や防音性に劣り、塗装メンテナンスが欠かせないというデメリットもあります。トタン屋根はとにかく安く屋根を仕上げたい方や、雪が多い地方にお住いの方に向いています。

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アスファルトシングル

アスファルトシングルはガラス繊維でできた基材にアスファルトを染み込ませ、表面に細かい石粒を付着させた屋根材です。シート状で柔らかい材質なので割れたりせず複雑な形の屋根にも施工できます。

またデザイン性が高いメリットがありますので、屋根をおしゃれに仕上げたい方に向いています。しかし日本での施工件数は少なく工事ができる業者が限られています。

ビスや専用接着剤で止めているだけなので台風で吹き飛びやすく、表面の石粒が剥がれやすくなっています。北側の屋根や雨の多い地方では屋根にカビやコケが生えて美観を損ねるというデメリットがあります。

セメント瓦の特徴を解説!

セメント瓦の特徴をメリット・デメリットに分けてご紹介します。セメント瓦はどんな屋根材なのか知りたい方は必見です。

セメント瓦のメリット

まずはセメント瓦のメリットから見ていきましょう。セメント瓦には主にこのようなメリットがあります。

価格が安い屋根材

セメント瓦は陶器瓦やいぶし瓦と比べると価格が安く、手軽に瓦屋根にできると一昔前は多くの屋根に施工されていました。また瓦職人が取り扱えるということで、施工しやすいというメリットがあるのも施工価格の安さを後押ししています。

とはいえ最近ではもっと価格の安いスレートや耐震性の高いガルバリウム鋼板が屋根材の主流となっていて、セメント瓦の需要は減少傾向にあります。

断熱性・防音性が高い

セメント瓦の屋根は断熱性や防音性が高くなるメリットがあります。セメント瓦を施工する際には野地板の上に防水シートを敷き桟木に取りつけるため、野地板との間に空気の層ができます。

この空気の層が熱や冷気の伝わりを遮断してくれるので、外気温に影響されにくい断熱効果が得られます。同様に音の伝わりも遮断できるようになっています。

さらに断熱材・防水シート・桟木が一体となった専用の発泡スチロールを敷いて施工する外断熱工法で仕上げるとさらに高い断熱性が期待できます。

サビない

セメント瓦は材料にセメントや川砂を使用しているため、金属屋根のようにサビることがありません。屋根は絶えず直射日光や風雨にさらされています。家の中で劣化が現れやすい場所でもありますので、サビないというのは屋根材として大きなメリットになるでしょう。

セメント瓦のデメリット

どんなに優秀な屋根材でも何かしらデメリットがあります。かつて屋根材として人気のあったセメント瓦が徐々に使われなくなったのには、次のようなデメリットがあるからと考えられます。

防水性が落ちると雨漏りしやすい

セメント瓦は表面の防水性が低下すると雨漏りしやすい屋根材です。特にセメントは材質自体に防水性がありません。表面に塗料を塗り塗膜を維持することで防水性を保っています。

表面の塗膜が経年劣化で剥がれたり色褪せてしまうと本来の防水機能がなくなり、雨水が内部にしみこんで雨漏りの原因となります。よって雨漏りを予防するには何よりも塗装メンテナンスが欠かせないのです。

耐震性・耐久性が高くない

セメント瓦は耐震性や耐久性があまり高くありません。セメント瓦はセメントを固めたものなので、地震などの衝撃でヒビ割れしやすい特徴があります。また重量も粘土瓦とそれほど変わらないため、屋根が重くなり建物の耐震性が低下する恐れがあります。

耐久性で見ると陶器瓦の耐用年数が50年以上ある一方で、セメント瓦は30年~40年と陶器瓦ほど長くないのがデメリットです。塗り直しなどメンテナンスにも手間がかかるため、粘土瓦と比較するとどうしても耐久性が落ちるという印象になります。

台風・強風で割れる・飛散する

セメント瓦はスレートの3倍ほどの重量があるため、台風や強風などで屋根から飛散すると大変危険です。家の窓を直撃するとガラスが割れてしまいますし、万が一人や動物にぶつかると大けがをしてしまう恐れがあります。

また屋根から飛散しなくても、飛んできた物が屋根にあたってセメント瓦が割れてしまうケースも考えられます。瓦を割れた状態で放置すると雨漏りの原因となりますので、早めに補修するようにしましょう。

カビ・コケの発生

表面の塗膜が剥がれるとカビやコケが発生しやすくなります。セメント瓦に塗装した塗料は紫外線などで劣化が始まり、10年も経つと表面がザラザラした状態に変化します。

雨水が染み込んで湿り気がある状態で、ザラザラの表面に胞子が付着するとカビやコケが発生してしまいます。乾燥すると茶色に変色して仮死状態となりますが、雨が降ると再び息を吹き返して繁殖が始まります。

カビやコケが発生すると、屋根の見た目を損ねるばかりか瓦自体がもろくなり割れやすくなるため、適切なメンテナンスが必要となります。

塗膜の色褪せが気になる

表面の塗膜が劣化すると色褪せが気になるのもセメント瓦のデメリットです。セメント瓦は新品の状態ではキレイに塗料が塗られて仕上げられています。

塗料にも耐用年数があり、年数を過ぎると徐々に劣化して色褪せが始まります。色褪せは塗り替えのサインの一つとして、そろそろ塗装メンテナンスをいつにするか考えるようにしましょう。

セメント瓦のメーカー・色

セメント瓦は徐々に下火になり大手メーカーではすでに製造販売を行っていませんが、今もなお製造を続けている会社もあります。こちらでは現在も取り扱いが可能なメーカーの商品をご紹介します。

【アルプス】アルペン30

アルプス社は昭和40年創業から一貫してプレスセメント瓦の製造販売を手掛ける老舗のメーカです。その中でもアルペンは代表的なセメント瓦として進化を続けています。

現在販売されている「アルペン30」は特殊なモルタルを配合して強度をアップさせています。また断熱性や防音性に優れた形状で、製品保証が10年付いています。

【井桁スレート】ヨーロピアン瓦

スレートを中心に製造販売している井桁スレートでは、セメント瓦をはじめとするセメント・コンクリート製品も製造しています。中でも「ヨーロピアン瓦」は独自に様々な工夫を施しています。

  • 独自の水系塗料を使用し変色や退色を防ぐ
  • 表面のエンボス加工により重厚な見た目を実現
  • 瓦の重ね部分に厚みを持たせて踏み割れを防ぐ
  • 横方向の重なりがスロープ状で侵入した雨水が下方向へ流れる

【川畑瓦工業】ヨーロピアンエース

鹿児島県でプレスセメント瓦を製造販売している川畑瓦工業では、洋風・和風どちらの住宅に使える「ヨーロピアンエース」を販売しています。程よい重厚感とどこか懐かしさを感じられる屋根材として葺き替え材としても人気です。

自社で施工も行ってるため、施主の要望を商品づくりに生かせるのもこちらのメーカーの特徴です。

セメント瓦の色・カラーバリエーション

上でご紹介した3社の3商品の色展開やカラーバリエーションをご紹介します。これからセメント瓦で葺き替えたいとお考えの方は参考にしてはいかがでしょうか。

メーカー・商品名色展開
アルプス・アルペン単色:6色 窯変色:4色 特注色:3色
井桁スレート・ヨーロピアン瓦7色
川端瓦工業・ヨーロピアンエース7色

施工方法・工期・タイミング

セメント瓦屋根をリフォームする際の施工方法や工期、リフォームのタイミングを詳しく見ていきましょう。お住いの家の屋根がセメント瓦だという方は、リフォーム時期やリフォーム方法の目安にして下さい。

リフォーム方法は3種類

セメント瓦のリフォーム方法は部分補修・屋根塗装・葺き替えの3種類です。セメント瓦は重量があるため既存の屋根の上に新しい屋根材を葺くカバー工法では、屋根が重くなってしまい耐震性が低下するためおすすめできません。

部分補修

セメント瓦屋根の一部分や棟部分の破損には、部分補修で対応可能です。ただし割れた瓦の差し替えでは新品の瓦を見つけられないと施工が難しく、接着剤等で応急処置をすることがあります。

補修箇所詳細
漆喰詰め直し・補修漆喰の剥がれがひどい場合は新しい漆喰を詰め直す。
漆喰の部分的な剥がれは補修する。
釘・金物の打ち込み釘やケラバが浮いている時は再度打ち込む。
棟取り直し棟部分の漆喰にゆがみや湾曲が見られたら。
棟を解体して土台を作成し瓦を葺き直す。
瓦差し替え瓦が脱落したり割れのひどい場所は新しい瓦と差し替える。
瓦補修在庫がない瓦の割れや欠けのあった部分を接着剤で補修する。
瓦のズレを直す。

屋根塗装

セメント瓦屋根を塗装する際は、塗装前の下処理と塗装後の縁切りがポイントになります。塗装前には高圧洗浄機を使用して表面の汚れや塗膜を取り除きます。

高圧洗浄でも落としきれない汚れは職人が手作業できれいにしていきます。下地の状態に応じてプライマーと下地調整材を使い分けながら下塗りを行い、中塗り・上塗りで色を付けていきます。

塗料が乾いたら縁切りという作業を忘れずにしなければなりません。縁切りは重ねて葺く屋根材を塗装する際に必要で、これを怠ると雨漏りの原因となります。

モニエル瓦を塗装する際にはスラリー層をキレイに除去しなければなりません。スラリー層はセメント基材を保護するための着色層ですが、これをきちんと落とさないまま上から塗装をしてしまうと塗膜が剥がれやすくなってしまいます。        

屋根に葺いているセメント瓦の種類によって必要な作業が異なりますので、屋根塗装を依頼する際はセメント瓦のリフォームに慣れている業者に依頼するようにしましょう。

葺き替え

セメント瓦の劣化がひどかったり雨漏りが発生している場合は、屋根材を全て撤去して下地を補修し新しい屋根材を乗せ換える葺き替えが必要です。セメント瓦屋根で葺いた住宅の多くは建ててからそろそろ40年を迎えるため、葺き替えを検討する時期に近づきつつあります。

セメント瓦屋根を葺き替える場合は、ガルバリウム鋼板などの軽い屋根材がおすすめです。メンテナンスの性能が良く、屋根の軽量化により耐震性がアップします。

下地や防水シートの劣化が心配な場合も葺き替えが適しています。今後10年以上は同じ家に住むという場合は、より性能の良い屋根材への葺き替えの方が、トータルのメンテナンスコストがかからずお得です。

施工方法別の工期

こちらでは屋根塗装と葺き替えの工程および工事日数をご紹介します。リフォームを計画する際の参考にしてスケジュールを組んでみてはいかがでしょうか。

屋根塗装(5日~7日)
  1. 高圧洗浄
  2. 下地処理(スラリー層の除去)
  3. 洗浄・清掃
  4. 下塗り(フィラーorプライマー)
  5. 中塗り
  6. 上塗り
  7. 縁切り

屋根塗装ではセメント瓦の種類に応じて作業工程が異なります。詳しくは見積もり時に業者までお問い合わせください。

葺き替え(5日~10日)
  1. 既存瓦・桟木の撤去
  2. 下地(野地板)の張り替え・補修
  3. 防水シート(ルーフィング)張り
  4. 新しい屋根材を設置
  5. 棟板金・金具の取り付け

葺き替えでは撤去した瓦や桟木、残土の荷卸しに時間がかかる場合があります。既存の下地がそれほど傷んでいない場合は、再利用して次の工程に進みます。

リフォームのタイミング

セメント瓦屋根のみならず屋根は絶えず過酷な環境にあるため、適切なメンテナンスが欠かせません。セメント瓦では次のようなタイミングでリフォームを行いましょう。

タイミング・時期リフォーム内容
新築から10年点検・棟補修
10年ごと屋根塗装
30~40年葺き替え

屋根塗装に使用する塗料によっては、次の塗装時期を伸ばすことも可能です。また外壁塗装と同じタイミングにすると足場設置費用が節約できます。

台風がよく通過する地域や年間の寒暖差が激しい地域、雨が多い地域では屋根の劣化が早まる可能性があります。定期的に屋根に登って点検してもらい、早めにリフォームするようにしましょう。

セメント瓦のメンテナンスについて

セメント瓦のメンテナンスについて、耐用年数や劣化症状をもとに解説していきます。屋根を点検してもらい、ご紹介するような劣化症状が現れている場合は、なるべく早めにリフォームを検討しましょう。

耐用年数・寿命

セメント瓦の耐用年数は30年~40年前後です。耐用年数というのは屋根材を新しいものへ交換する目安の時期となりますので、新築で建ててから40年以上経ったセメント瓦屋根は葺き替えを考えましょう。

とはいえメンテナンスを定期的に行っていると、耐用年数を超えても使用できる場合があります。トータルでかかるコストも節約できますので、屋根にお金をかけたくないという方はこまめなメンテナンスがおすすめです。

劣化症状ごとのメンテナンス法

セメント瓦には次のような劣化症状が現れてきます。適切なメンテナンス方法で耐用年数を伸ばすようにしましょう。

主な劣化症状メンテナンス方法
・瓦のズレ、ひび割れ
・棟瓦の脱落
・棟のゆがみや湾曲
・漆喰の割れ
部分補修
・塗膜のはがれや色褪せ
・表面のふくれ
・コケ・カビ・藻の発生
・表面のざらつき
・カルシウム成分の流出による白華現象
屋根塗装
・雨漏り
・防水シートなど下地の劣化
・複数個所の瓦の脱落・割れ
・全体に及ぶ瓦の劣化
葺き替え

メンテナンスフリーの屋根材はない

そもそもメンテナンスが全く必要ない屋根材というのは存在しません。セメント瓦と比べて耐用年数が長い陶器瓦でも例外ではありません。

陶器瓦の耐用年数は50年以上と高寿命ですが、瓦の下の防水シート(ルーフィング)の耐用年数は20年前後です。耐用年数を超えた防水シートは雨漏りの原因となりますので、葺き替えや葺き直しを行い下地を一新しなければなりません。

また棟部分を固定する漆喰は定期的な補修や詰め直しが必要となります。たとえどんな屋根材でもメンテナンスは必要と考え、屋根材の種類や劣化症状に応じたリフォームを心がけましょう。

セメント瓦に高圧洗浄をかける際の注意点

セメント瓦に自分で高圧洗浄を掛ける際に気を付けなければいけないことがあります。万が一のトラブルや事故を避けるためにも、これからご紹介することを守って作業を行ってください。

雨漏りが発生することも

間違った方法で高圧洗浄を掛けると、室内に雨漏りが発生してしまう場合があります。高圧洗浄は1か所におよそ150㎏~の圧力をかけて汚れを落とします。

慣れない人が高圧洗浄を使用すると、もろくなった瓦を割ったり防水シートを破ってしまって水が屋根の内部にまで染み込んでしまいます。また屋根の下部分から水をかけるとサッシとの境目や屋根材の間から水が入り込んで雨漏りの原因となります。

周囲への飛び散りに注意

屋根の上からやみくもに高圧洗浄をかけると、隣の家の庭や壁などに汚れを含んだ水が飛び散ります。特に隣との距離が近い家や、傾斜が急こう配の屋根では水が飛び散りやすくなります。洗濯物に汚水が付いたりしてトラブルの元になりますので、十分注意しましょう。

屋根修理の専門業者が高圧洗浄をかける際は、家を取り囲むように足場を組んで養生ネットで飛散しないように対策します。またなるべく風のない日を選んで作業したり、作業の前に近隣に挨拶に伺ってトラブルを事前に防ぐ努力をしています。

高所での作業は危険と隣り合わせ

そもそも高所作業に慣れていない方が、屋根に登って作業するのは大変危険です。特に水を使う高圧洗浄は滑りやすく落下の恐れが高いです。また季節によっては風にさらされて体が思うように動かなかったり、体が冷えて体調を崩しかねません。

屋根に登っての高圧洗浄は、なるべくなら足場などの飛散防止対策をしっかり行える高所での作業に慣れた業者に依頼するようにしましょう。

セメント瓦にアスベストが入っている?

セメント瓦について調べていると「アスベスト」という文字が目に入ることがあります。自宅に施工してあるセメント瓦にアスベストが含まれているか心配な方は、見分け方を参考にチェックしてみましょう。

アスベスト入りの見分け方

アスベストがセメント瓦に含まれているか見分けるには、主に3種類の方法があります。製造年代・商品名やメーカーから・実際に割ってみるという方法です。

製造年代

昔の建材には強度を高めるためにアスベストが含まれていることがあります。セメント瓦も例外ではなく、規制が開始されるまではアスベスト入りの製品がありました。

具体的には2004年にアスベスト含有が1%を超える建材の製造・輸入・使用が禁止され、2006年には0.1%含有のものも全面的に禁止になりました。つまりセメント瓦に関しては2004年以降に製造されたものに関してはすべてノンアスベストとなります。

またモニエル瓦は海外で製造された建材になり、日本よりもアスベストの規制が厳しかったため、アスベスト入りの瓦は一切ありません。

商品名・メーカー

屋根に使用しているセメント瓦の商品名やメーカーが分かる場合は、国交省および経済産業省で運営している「石綿(アスベスト)含有建材データベース」から確認が可能です。

どうしても心配だという方は建築図面などから商品名を探し、データベースで検索するといいでしょう。

割ってみる

最も手軽に確認できるのは実際に割ってみるという方法です。アスベストは綿のような繊維質をしているので、割った断面から細くて白い糸のようなものが出てきます。

割るのが怖いという方は、屋根専門業者やアスベストの取扱が可能な業者に依頼して調査してもらうとよいでしょう。

すぐに健康被害を及ぼす危険はない

2004年以前の住宅に使用されているアスベストですが、普通に暮らしている限りはすぐに健康に悪影響を及ぼす心配がありません。と言うのもスレート瓦にアスベストが使われている場合は、周りを硬いセメントで固められているため、屋根に乗っているだけでは飛散しません。

国の基準でもアスベスト含有屋根材は非飛散性のレベルが3と低く、粉々に破壊しない限り吸い込んでしまう心配はほとんどありません。アスベスト入りのセメント瓦を葺き替える際は、石綿含有産業廃棄物の取扱や処分ができる業者に依頼して周囲に飛散しないように作業をしてもらいましょう。

セメント瓦の維持には適切なメンテナンスが大切

セメント瓦は1980年代までは人気の屋根材でしたが徐々に他の高機能な屋根材に押されて需要が低くなってきました。現在セメントを葺いている住宅では築30年を超え、そろそろ葺き替えの時期に入っています。

とはいえ劣化症状に応じて適切なメンテナンスを行っていれば、屋根の耐用年数を伸ばすことが可能です。自宅の屋根の状況を年に一度はチェックしてもらい、専門業者に依頼して計画的にメンテナンスを行っていきましょう。

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